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出版体験記

皆吉 淳延

『落ちこぼれだった僕が先生になって考えたこと』
『落ちこぼれだった僕がいじめについて考えたこと』 ご出版
皆吉淳延さん

僕が本を出すにいたった動機を語ろう。

 僕は子どもの頃、勉強ができない落ちこぼれで、いじめられっ子だった。
僕は怠けていたわけではない。みんなに追いつくため一所懸命努力した。しかし、勉強が理解できず成績は最下位を彷徨っていた。おまけに運動神経も鈍かった。だから先生に叱られてばかりいた。
落ちこぼれに冷たい教育。個性を無視した権威主義教育。競争至上主義教育。今、考えれば納得できないことばかりである。人は学力も運動神経もそれぞれ違う。落ちこぼれが出るのは仕方がない。しかし、落ちこぼれを排除するのではなく、ひたむきな努力を認め、寄り添いながら指導することの大切さを訴えたかった。また、学校の大半は授業である。生徒が終了時間を待ち望み席に座っているだけでは意味がない。生徒の知的好奇心に訴えかけ、楽しくて面白い授業について追求したかった。
その気持ちが実を結び、『落ちこぼれだった僕が先生になって考えたこと』という本になった。
出版後、ブログで自著を紹介した。インターネット新聞JANJANには書評が掲載された。ネット書店のレビューにも高評価の書評が載った。自著の反響は思いのほかよく、増刷することができた。
読者からは「学校の勉強についていけない」「いじめが辛い」といった相談メールや手紙が数多く寄せられた。ニュースでは、いじめ自殺の問題が取り上げられていた。僕は、いじめに苦しみ続けている子どもたちを一人でも救いたいと決意した。
『落ちこぼれだった僕がいじめについて考えたこと』では、凶悪化したいじめにどう向き合っていくかに焦点を当てた。生徒間のいじめばかりでなく、教師によるいじめも取り上げた。いじめっ子、いじめられっ子、親、教師、いじめ問題に関わるすべての人に、いじめの悲惨さ、いじめられた子どもへの支援方法を伝えたかった。「いじめと闘え」という言葉を耳にするが、いじめと闘う必要などない。いじめられたら逃げればいい。逃げることは卑怯なことではない。いじめられたら教師やスクールカウンセラーに相談し、任せればいい。後は大人の仕事である。

出版してから僕の世界は変わった。 

 一冊目の本がきっかけになり、僕は教育評論家として執筆活動をしながら、不登校に苦しんでいる生徒たちと交流をもち、日々、彼らの苦しみと向き合っている。
また、予備校講師もしている。大学受験に失敗し、浪人となり予備校の門をくぐる生徒の表情はみな暗い。しかし、授業を受けているうちに次第に明るくなってくる。授業を楽しみ、わかる喜びを知るからである。ほんの少し前の僕の姿そのものである。

 最後に、一年間僕の授業を休むことなく受けてくれた教え子からの報告をぜひとも聞いていただきたい。彼は古文が大嫌いだった。僕は文法、古語、読解法、古典常識などを丁寧に教え、古文を読む楽しさを精一杯伝えた。彼は一所懸命授業に耳を傾け、成績も大幅に上昇した。
僕は彼の並々ならぬ努力に敬意を表すると同時に、古文を好きになってくれたことを心よりうれしく思っている。

皆吉先生の本が精神的な支えとなりました。

 浪人が決まり、現役時代にお世話になった世界史の田中拓雄先生の事務所へ挨拶に行ったとき、そこに偶然、皆吉先生もいらして、そのまま三人で会話したのが、皆吉先生との最初の出会いでした。ただ、その時は田中先生の元教え子だということを聞いていませんでした。
一カ月後の四月に田中先生の勧めで東京高田馬場の早稲田ゼミナールに入学し、本格的に浪人生活が始まり、時間割を見ると、古文の欄に「皆吉先生」の名前がありました。「もしかして」と思いつつ授業に出ると、事務所で前に会った人と同じ人がいました。それが先生との再会であり、ここから僕の苦手な古文克服の戦いが本格的に始まりました。
授業中、僕がつまらないことや少し考えればわかるようなくだらない質問をしても、嫌な顔を一つも見せずに親身になって答えてくれるので、先生の授業は毎週完璧に理解していたと記憶しています。また、講師室で、僕がどうして古文が読めないかを的確に指摘してくれるので、次の授業の予習の時に明確な目標をもって取り組むことができるようになったので、自然と古文に対する抵抗感が消えていきました。
皆吉先生のこの本のタイトルにもある通り、僕も「落ちこぼれ」で、受験勉強を始めた当初の偏差値は四〇に満たない状態でありました。勉強中に成績の伸び悩み、苛立ちで自暴自棄になりそうだったとき、先生の体験談を聞き、この本を読むことで精神的な支えとなりました。著書の中にある「挫折しても、失敗してもよい。自分のペースでゆっくり前へ進めばよい。努力はきっと報われる」という言葉に強い感銘を受け、浪人中に身をもって体験できました。
先生との出会いは、ただ大学に合格するためだけのものではなく、人生色々あることも教わり、受験勉強を通して、人生の至る所にターニングポイントがあることを知りました。
皆吉先生、ありがとう!

(F・J 早稲田ゼミナールで浪人生活を送りその後、明治大学・商学部に合格)

 

予備校の教壇に立つ著者

予備校の教壇に立つ著者