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戦記 天井の節穴 著者:山田重夫

2004(平成16)年3月、著者はふとしたことから末娘と軍服に付いている徽章の話をしたという。「航空兵はプロペラの徽章、船舶兵は錨の徽章を軍服の右胸に付けるんだよ。俺のように水上特攻隊になると、錨の徽章の上に楕円形で真ん中のハンドルの周りに桜の葉っぱと蕾を配した徽章を付けるんだよ」と徽章を付けて撮った写真を見せる。これまで誰にも忌わしい軍隊時代の話をしたことがなかったのに、それを契機に戦時下の中学時代、志願して入隊した軍隊時代、終戦後の自分の体験を書き残そうと思い至る。私は特攻隊要員として爆雷投下訓練中に日本人として最初に原爆のキノコ雲を見た。8月15日出陣と決まるも終戦となり無事復員した私に、入隊前夜に見付けた天井の節穴が「お前はもう死ななくて良くなったんだ」と語り掛けているようだったと。唯一の情報源だったという「おふくろの手紙」が戦時下の庶民のありのままの世相をも照射し、微細に戦争の実相を語る。
- 定価:1470円 四六判 上製本 416頁
- ジャンル:日本の歴史
- ISBN978-4-434-13490-6 C0095
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年10月20日発行
著者からメッセージ
本書は、2004(平成16)年4月から約4年にわたってこつこつ書き溜めたものである。粗原稿を普通の紙に書き、それを四百字詰め原稿用紙に清書した。
終戦後、59年も経ったのである。もっと前であったなら記憶も定かで、内容も充実したと思われる。一番残念だったのは、中学時代から付けていた薄黄色の表紙の日記帳を無くしてしまったことである。入営する時にも持って行った。何度も、日記帳があればと悔やんだ。
私が実家を出た時、小学時代、中学時代、軍隊時代の物は殆ど実家に置いたままだった。そして、おふくろが兄の家に移り実家が消滅した時、私の物を含め総てが失われてしまった。終戦後、私自身が生きていくことで精一杯で、古い持ち物に執着がなかったためでもある。ただ、面白いことに軍隊から持ってきた雑嚢、飯盒、水筒、戦闘帽、軍服、巻脚絆、毛布、軍靴の中、巻脚絆だけが今も私の手元にある。どうして巻脚絆だけを持ち続けてきたかは分からない……。
著者紹介
1928(昭和3)年福島県生まれ。陸軍船舶兵長。日本大学・東北大学両校卒業。中東・東欧・東南アジア・南米を含む海外プロジェクトに従事。現在は、技術系コンサルタント会社経営を引退し、執筆活動に勤しむ。
著書に『バスラ風土記 イラクの歴史・文化・人々』(朱鳥社刊)あり。
日本人が知ってはならない歴史 戦後篇 著者:若狹和朋

「日本人が知ってはならない歴史」「続 日本人が知ってはならない歴史」に続く好評シリーズ3作目。昭和陛下の墓参り/ABC級戦犯はこうして作られた/「東京裁判」史観の核心/「東京裁判」という日本人へのロボトミー手術/「東京裁判」という呪縛/「東京裁判」という欺瞞/「東京裁判」史観が引き起こした田母神更迭/(第一部目次より)にみるように、著者は独自の史観で歴史の事実の深奥を探り、日本人の精神構造にまで踏み込んで多角的に検証してみせる。「東京裁判」にはシナリオがあった。原本はアメリカ戦略情報局OSSが昭和17年6月に策定していた「日本計画」。東京裁判史観の核心とは「日本が戦争を起こした」という誤認識だ、と。第二部では歴史認識や国を愛する心の教育の在り方についての教育者としての見解と教室で何を語ってきたかに触れている。正しく歴史を知るための、イデオロギーを超えた視座に立っての日本史研究評論。
- 定価:1575円 四六判 上製本 216頁
- ジャンル:日本の歴史
- ISBN978-4-434-13468-5 C0021
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年11月13日発行
著者からメッセージ
本を書けば、ひととのご縁が生ずる。「続 日本人が知ってはならない歴史」は2005(平成17)年の12月に出た。その月の24日に私は三ヶ根山の頂上にいた。殉国七士墓にお参りして、近くの食堂でコーヒーを飲んでいた。十数人の一団が入り、座った。一人の御婦人が「続」の書名をあげ周囲に推奨されている。友人が笑って、「著者の男がここでコーヒーを啜っていますよ」と言った。
東条由布子氏だった。東条英機のお孫さんである。このようにして御縁を頂戴した。
「東条内閣が避戦内閣だったなんて初めて聞きました」と言われた。開戦にいたる経過を子細にみれば、日本の避戦努力は涙ぐましいとしか形容できない。昭和天皇や東条英機たちがいかに努力してみても開戦は必然であった。引き返し可能な地点は何処だったのであろうか。歴史に「イフ・たら」は禁句と言う。ある意味では真実だと私も思う。しかし、歴史の裾野を振り返るときに「イフ・たら」を抜きに歩んできた道を検証することはできない。「あの地点だったな」と岐路を見るのは「イフ・たら」である。
私の拙いこの本は三部作となった。一冊目が日清戦争・日露戦争を扱い、二冊目が開戦まで、そして三冊目の本書が終戦以降となった。三冊を合わせると六百数十頁となる。それぞれに独立しているので、どの本からでもお目を通していただけたらと願う。
著者紹介
1942(昭和17)年、福岡市生まれ。九州大学法学部法学部卒業。某省に勤務すべきところ、ひとの死を契機に雲水を経て公立高校の教師となり、2003(平成15)年退職。二つの大学を経る。教育学博士(Ph.D.)。発言集団シューレ代表。主な著書に『衰弱する教育』(公人社)、『生徒指導原論素描』(梅文社)、『エゴグラムと生徒指導の展開』(同)、『日本人が知ってはならない歴史』『続 日本人が知ってはならない歴史』(朱鳥社)。その他、法律関係の論文や日本刀研究に関する著書がある。現在、多数の講演会活動などをこなしている。
ドレスを着た電信士マ・カイリー 著者:松田裕之

情報通信の新時代が幕を開ける19世紀末のアメリカ。革命的な通信テクノロジー《電信》の象徴的アイテム=電鍵(キー)を操り、偏見、不遇を乗り越えつつ新時代の扉を開けた女性電信士(テレグラファー)がいた。その名もマ・カイリー。史上初のグローバル情報網を動かした電信士はプログラマーやSEのご先祖さまだ。本書は専門技能を武器に果敢な挑戦を続けたタフレディの人生からひもとくIT革命の裏面史であり、貴重な無線史であり、埋もれていたアメリカ史であり、性別分業という保守的男女規範が色濃い時代における女性史でもあり、という型破りな評伝である。「あたしの腕前は正真正銘の一級品さ」と豪語するなど、電鍵ひとつを相棒にアメリカを放浪したタフレディの痛快な生きざまに惚れ込んだ歴史学者である著者が、みずから語り部になって「歴史が忘れた物語」を活写した。
- 定価:1680円 四六判 並製本 212頁
- ジャンル:研究論文
- ISBN978-4-434-13283-4 C0022
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年9月17日発行
著者からメッセージ
「あんたの目の前にいる女は、これっぽっちの金じゃあ働かなくってよ」という啖呵を、上司に切ってやりたい。あるいは、陰湿な嫌がらせをした卑劣漢の鼻先に拳を突きつけて、「あんたが今度女をいびることがあったら、その女が○○出身かどうかを確かめてからやんな!」と凄んでみたい――そんなことを考える女性はかなりの数にのぼるであろう。いまを去る一世紀もまえ、「女性の居場所は家庭であり、その役割は家事と育児」とされた時代に、こうしたことを考えるだけでなく実践した大先輩がいたわけだ。これはおおかたの読者にとって新鮮な驚きではなかろうか。
放浪の電信士《マ・カイリー》が編んだ黙示録(アポカリポス)は、はたしていまを生きる我々にいったいなにを啓示してくれるのだろうか。彼女のまなざしをとおして、我々はどのような未知の風景と出会えるのだろうか。感性と想像力を働かせ、ときに自身の人生経験にも問いかけながら、ページをめくっていただければ――そう願ってやまない。
著者紹介
1958年大阪府豊中市生まれ。博士(商学)。松商学園短期大学(現松本大学松商学園短期大学部)、産能短大、放送大学、関西学院大学、甲子園大学などで経営関連ならびに情報通信関連の講義を担当。主要著書『ATT労務管理史論―「近代化」の事例分析―』(ミネルヴァ書房)、『AT&Tを創った人々―企業労務のイノベーション―』『電話時代を拓いた女たち―交換手のアメリカ史―』『明治電信電話ものがたり―情報通信社会の《原風景》―』『通信技手の歩いた近代』(以上、日本経済評論社)、『経営と労働のアメリカ史―攻防の1世紀を読む―』(現代図書)。
馬を追う女 著者:津島彪

明治四十年、旭川の開拓者の四女に生まれたじょっぱり(強情)おなごのあっぱれ一代記。八歳で旭川の穀物の仲買商店に子守に出されたヱツは持ち前の気性の強さと器量でみずからの人生を果敢に切り開いていく。
「おーい、ヱツ来てみれ」「なんだや」「乗れ」「わしがかい?」「んだ」ムシロを敷いた馬車の上に、腹が目立ってきたヱツの手を掴むと三武郎は引き寄せた。「座ってれ」と、ヱツに言い、三武郎は、ハッ、と気合いをかけ、皮の手綱でかるく馬の背を打つと、アカはゆっくりと歩きだした。「どんだや、乗り心地」「たいしたいいわ」三武郎は前を見たまま満足そうな顔をした。「おめえを乗せるのが初仕事だ」三武郎は前々から考えていた。馬と馬車が揃ったら、まずヱツを乗せてやろうと。馬追だった連れ合い・三武郎の遺志を継いで馬追となる波乱の後半生……。拓けつつある北海道の小さな村・黒松内で八人の子どもたちと生きた愛と絆の物語であり、親と兄弟の葛藤、嫁姑・介護問題など、現代に通じるさまざまなテーマが盛り込まれている。
- 定価:1365円 四六判 上製本 332頁
- ジャンル:小説
- ISBN978-4-434-13469-2 C0093
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年9月10日発行
著者からメッセージ
わたしは北海道生まれの、純粋の道産子2代目である。わたしは、道産子であることに誇りを持っている。
新作「馬を追う女」でも、北海道弁を書きたくて、会話にはできるだけ遣っている。
わたしの祖父母は津軽から渡道し、入植した開拓者だが、北海道から逃げもせず、ささやかながら地主になったところをみると、そこそこ成功した部類に入るのかもしれない。
道産子はみな、酷寒の冬を乗り切り、生き残った開拓者の子孫なのだ。わたしの誇りもそこに源流がある。
そういうわたしも、夢を抱いて上京した。ちょうど半世紀前のことだ。大名になるか、物乞いになって野垂れ死にするかの覚悟だった。しかし、いまだに団地住まいをしているところをみると、成功したのかどうかははっきりしない。ただ、悔いなく、生きたいように自由に生きた。「馬を追う女」を書いたのも、道産子の誇りをアピールしたいからである。
著者紹介
本名・対馬 博。昭和19年(1944年)北海道黒松内町生まれ。道立長万部高校卒業。美術学校中退後、グラフィックデザイナー、コピーライターとして、広告代理店、新聞社編集局、デザイン専門学校非常勤講師、フリーランスなどを経る。他に長編小説『オイラ、名犬ではないけれど ―― 色魔四郎丸博士の精神文化研究所』『けろけつ』(ともに朱鳥社刊)などの著書がある。
詩集 夢と道 第2集 著者:菅原北秋

半世紀にわたり日々湧き出る、自然、家族、社会、故郷への思いを切々とうたいあげた散文詩全182篇。山や川や湖畔の静けさのなか、静かに思索することで生まれ出る詩。あるいは理想と現実のはざまで抱える矛盾、憂鬱と闘い、自我の道を切り開こうともがきつつ生まれ出る詩。幾重にもうたわれる日常のシーンが積み重なって自分史となっている。さらには、ついの住処となった東京郊外の武蔵村山市丘陵、多摩湖、狭山湖の四季の変化、オアシスとして集う人々の情景が、細やかな描写で鮮やかに描き出される。蒸し暑い夏は終わりを告げました/夜更けの狭い部屋は凌ぎ易くなり/静寂な部屋に灯る電灯の下では/詩歌に憑かれた無名の詩人が/生命を維持する過酷な職場から解放されて/自らの生涯に対して思索しているのです!(「夜更けの静かさの中で」昭和42年9月7日)。
- 定価:1050円 四六判 並製本 336頁
- ジャンル:エッセイ
- ISBN978-4-434-13284-1 C0092
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年6月26日発行
著者からメッセージ
三年前に『夢と道』を発刊した時点では、五十年の集大成として出版すればそれでいいと思っていましたが、旧住宅から五階建て住居へ移転する事になり、倉庫を解体すると文庫本や古い書籍類に混じって、何十年も眠っていた若き日の詩集編が出てきました。整理しながら読み返して見ると懐かしくなってきまして、このまま捨てるにはあまりにも勿体ないと思い、第二詩集を発刊することに相成りました。
若い時代に思い悩み、結婚し、子供を育て、一人前に定年を迎え、生活も安定した頃に最愛の女房をなくし、何とか立ち直りを実感するようになってからの作品もありました。日常的な出来事の中で感じた事、理想とした夢への希望といったものが、少しばかり実現されたかなと思っています。
第一作と同様、皆様に親しまれ、愛読して頂ければ幸いと存じます。
著者紹介
本名:定秋。1937(昭和12)年 宮城県登米郡米山町櫻岡生まれ。1956(昭和31)年 高校卒業と同時に上京、日本橋の印刷会社に入社。1958(昭和33)年 工場が焼失し退社。同12月 産経新聞大阪本社の印刷局へ入社。1965(昭和40)年 東京本社へ転勤。1997(平成9)年10月 定年退職。現在、地域社会の団体役員。東京都武蔵村山市のボランティア等。家族は長女、長男、次男。それぞれ独立し、6人の孫がいる。著書に『詩集 夢と道』(2005年 朱鳥社刊)あり。
丹波旧制中学物語 昭和十三年から昭和十九年 著者:山岸晋堂

大戦時の海軍特攻生みの親・大西瀧治郎中将(9回卒)、終戦後の連立内閣総理大臣・芦田均(3回卒)などの母校でもある丹波の旧制柏原中学校。42回卒の後輩である著者が、軍事教練と査閲風景の特異さ、個性と諧謔精神に満ち溢れた名物教師たちのアダナ、夜の東京を流行歌を歌いつつ闊歩した修学旅行など、生徒たちのはちきれんばかりの蛮カラぶりを臨場感たっぷりに描き出す「半自伝」。住み慣れた丹波を志望校の入試に失敗したために離れ、上京。法律事務所の書生として苦学中のいとこの間借り部屋に居候。逓信省に臨時要員として雇われ、立川飛行機製作所で徴用生活を余儀なくされる。こうした暗雲とした空気のなかで息づく人間模様、若いエネルギーが生み出すエピソードの数々を、丸の内、武蔵野、多摩平野のたたずまいとともに生き生きと活写する。
- 定価:1050円 四六判 並製本 140頁
- ジャンル:エッセイ
- ISBN978-4-434-13057-1 C0095
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年5月14日発行
著者からメッセージ
小生はもっぱら午後のひとときを足湯で過ごす毎日、その後、果樹園で汗を流し休憩、また労働を繰り返して一日を過ごしております。大阪の梅田へ出るのもおっくうで行きません。足湯にひたりつつ出会った友達と話したり、果樹園に遊びにくる人と話したりしています。
今回、旧制中学時代から戦時徴用前後までを書き上げ、こうして出版することができて肩の荷を下ろした思いがいたしますが、今後どうしても書かなければいけないと思うのは、舞鶴の海軍兵学校時代のことです。あの生活はどんなであったか、深い遠慮があったのではないか……。同期の者や先輩や、50%を越す戦死者たちの悲哀を描き、未来ある後世の若者たちへ小生なりの見解を提示したいと思います。体が続く限り、ゆっくりゆっくりがんばりたいものです。社会的には何の役にも立ちませんでしたので、せめて「一隅を照らす」をしようと始めた自伝執筆というわけです。
著者紹介
1926年、兵庫県丹波市に生まれる。現在、同西宮市在住。1943年、兵庫県立柏原中学校卒業。1944年、徴用にて立川飛行機製作所等で従事。1945年、海軍機関学校(後に海軍兵学校[舞鶴])に入校。終戦にて復員。1949年、京都繊維専門学校(現京都工繊大)繊維化学部卒業。1950年以降、教師等。著書に『神戸の北海道と奥丹波 七〇年前の子供の頃』(新風舎)あり。
エンデ森のカー 著者:並木美路 植垣歩子・絵

ここ東北は岩手の北上というところさあるエンデ森は、地の霊を治める農耕の神様が住まう森。そして、アイヌの時代からずうっと、おらだぢハシボソガラスのねぐらでありました――。カラスの生態、生命力に満ちた暮らしぶり、生を明日へとつなぐ日常のドラマを、息吹がしたたるような岩手の自然、四季の移り変わりのなかにいきいきと描写。そこに暮らす人間たち、共存するカラスたちや生きものたちの哀歓が、作者が暮らす岩手の方言をまじえてリアルに、あたたかく、詩情豊かに描きだされ感動を誘う。ある日目ざめるとなんと、ずん胴に小さなお目めと突きでた鼻にひげを生やした、とぼけた顔のもぐらのおとうさんになっていた!?というお話「もぐらの日々」を併録。すべての生きものの生命のよろこびと神秘を追究しつづけてきた児童文学作家が、すべての年代層に向けて贈る愛の物語である。
- 定価:1050円 A5判 並製本 124頁
- ジャンル:児童/ヤングアダルト/絵本
- ISBN978-4-434-13056-4 C8093
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年3月24日刊行

著者からメッセージ
私の住む地元北上の会話は方言言葉です。方言は風土や地元の人情から語られる言葉だと思います。ですからここで暮らすカラスたちはやはり「きたかみ」の言葉で話しあっているだろうと思うのです。ですからカラスたちの言葉は、そのまま地元の言葉にいたしました。物語の舞台であります「岩手きたかみ」のふんいきや人情、ぬくもりを感じていただければ、と思いました。
どことなくカラスなあなたへ贈るファンタジーです。カラスが嫌いな方が多いのは知っております。実際、蛇足なのかもしれませんが、私のなかにわだかまりのように響くのです。自分は嫌われ者と感じているひとと、ひとをはじこうとしている自分の目線とがときにからまって‥‥。つくりもののお話ですが、エンデ森のカラスたちをとおしてつながることができればうれしいですね。
そうそう、となり町の童話作家であり詩人でもあった宮沢賢治さんが、なんとエンデ森を経を埋めるべき山のひとつにえらんでいたようで、ふしぎなご縁におどろいております。現在も、木々をゆらす風のざわめきとともに、ときおりエンデ森をおとずれておられるのかもしれません。
著者紹介
並木美路
1959(昭和34)年生まれ。岩手県北上市在住。動物へのやさしい視点をもって数々の童話や児童文学を創作中。日本児童文学者協会会員。著作に『氷つばめの秘密』(2004年)『雪うさぎの冬』(2006年)(ともに朱鳥社)あり。
画家紹介
植垣歩子
1978(昭和53)年生まれ。神奈川県在住。和光大学芸術学科日本画専攻卒業。絵本に『ざりがにさんとさわがにさん』『どーっちだ?』『にんじんだいこんごぼう』(以上、福音館書店「こどものとも」)、『へんしんしまーす』(あかね書房)、『すみれおばあちゃんのひみつ』(偕成社)。挿絵に『氷つばめの秘密』『雪うさぎの冬』(朱鳥社)など。
近代朝鮮の絵画 ― 日・韓・欧米の画家による ― 著者:姜 健栄

『Korea Today』誌2006年9月号より最近号に掲載された美術評論集。著者は初め、江戸時代後期の北斎、歌麿や広重の浮世絵風景画を観賞していたが、次第に近代日本の画家たちによって描かれた近代朝鮮の作品に注目するに至る。その変遷を経て関心をもった、韓国、欧米の画家を含めた全30篇より成る近代朝鮮絵画評論集である。近代日本画壇の巨匠と称される画家たちの中には、大正、昭和前期に朝鮮半島を訪れ、優美な絵画やスケッチを残した芸術家がいた。浅井忠、藤島武二、小林古径、中沢弘光、平福百穂、前田青邨、土田麦僊、山口蓬春、速水御舟らである。著者が最近発掘したというこれら著名な画家たちの作品を、略年譜、時代背景、人物像を解説しつつ紹介する。著者独自の観点、審美眼が随所に光り、近代日本画壇が民主主義の確立とともに自由な活動をし、朝鮮の風土、芸術にも強い関心を抱いていたことがよくわかる。作品のカラー口絵付き。
- 定価:2000円 A5判 並製本 216頁
- ジャンル:研究論文
- ISBN978-4-434-13113-4 C0071
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2009年4月26日刊行
著者からメッセージ
日本植民地時代に朝鮮を旅行、居住、あるいは美術展審査員としてソウルへ赴き、彼の地で描いた日本画家たちの絵画に深い関心を抱くようになった。
その中で、大正11(1922)年に始まった朝鮮総督府主催の朝鮮美術展覧会の存在を知り、その図録全十九巻を調査する目的で東京の国会図書館にまで出かけて行った。当時、朝鮮国内から公募してきた絵画作品には、朝鮮・韓国の人物・風俗・自然が素朴な姿でよく表現されており、人間本来の至純な心が描かれているようであった。
近代化が世界的に進む中で、日本以外のイギリス、フランス、アメリカから画家および紀行家たちが李朝末期の混乱期に朝鮮を訪れ、多くの作品を残した。都路華香は大正9(1920)年、金剛山を探勝し、美しい山岳の風景画を描き、また紀行文「東洋に冠たる朝鮮金剛山」を書いた。いずれも後世に残る名作である。著者も2008年5月、金剛山に登り、美しい峻嶺を心ゆくまで堪能することができた。特に加藤松林人の朝鮮風景や風俗画には、すべてのものに対する愛情を感じさせる。
著者紹介
東北大学医学部卒・同大学院修了・内科学専攻・医博。第1回日米癌協力事業米国派遣研究者、大阪対癌協会助成金授与、米国チューレン大学医学部助教授、米国アラバマ州ハンツビル名誉市民、KMAJ関西支部前会長、大阪白頭学院校医、大同クリニック理事長
主な著書:(随筆集6篇・詩集5篇)
『医学論文集(1)』、『新内科学体系』および『新内科学』分担執筆、『日本の介護保険と在日社会』(2001年)、『日本の介護保険2001』(医学新聞社(ソウル)、2001年)、『日本の医療・介護保険・NPO研究』(ミル社(ソウル)、2004年)、『東アジアの結核と日本の医療・医薬分業』(ANC社、2004年)、『梵鐘をたずねて』(アジアニュースセンター、1995年)、『李朝の美−仏画と梵鐘』(明石書店、2001年)、『高麗仏画』(アジアニュースセンター、2002年)、『現代史に学ぶ』(アジアニュースセンター、2003年)、『開化派リーダーたちの日本亡命』(朱鳥社、2006年)、『アスベスト公害と癌発生』(朱鳥社、2006年)、『夢と絆への旅』(大阪書籍、2007年)
本籍:済州道
心の悲鳴に耳をすます いじめを通して考える開発的人間関係 著者:河野 憲一

教師としての体験や実践を昇華させた視座から「いじめ問題」を考察。いじめを通して広く人間の生き様を学び、豊かな人間認識とともに新しい人間のつながりを創造することが必要だ、と問題取り組みへの視座の転換を提言する。そして、懇切に以下のような構成で思考プロセスを提案している。第1章「いじめの実態」(学校や大人のいじめ、ネットいじめを取り上げ、いじめの実態や変容、新しい危険性について考える)、第2章「いじめの背景」(根底にある感情、学校や社会の側にある問題などを取り上げ、閉塞感、評価社会、消費者意識などへ目を向ける)、第3章「いじめの克服」(いじめから立ち直るには、どのような視点や考えに立つことが求められるのかを探る)、第4章「いじめの超越」(第3章を発展させ、いじめを超えた人と人とのつながりは可能なのかどうかを考え、同時に生命のつながりという視点から人間関係を作っていくことを提案)。
- 定価:840円 四六判 並製本 136頁
- ジャンル:教育
- ISBN978-4-434-12873-8C0095
- 発行:朱鳥社 発売:星雲社
- 2008年2月17日刊行
著者からメッセージ
いじめは許される行為ではありません。しかし、いじめを減らすことはできても、なくすことはできません。ストレスから発したその行為は被害者にとって「悪」であっても、加害者にとっては自分を守る行為であり、「善」であることもあります。人は誰もが我が身を守りたいので、自分を守ろうとする行為が自分にとって「善」となります。このため、いじめの解決には、価値観が多様化・個別化してきた中で両者を含むもっと「大きな善」を創造するか、または善悪という道徳観を進めるのではなくて、ヒステリックにならない自己抑制の方法や健康的な人間関係を築く智慧を学ぶことが求められます。
それには、人が自分に優しくしてくれることを期待するのではなく、まず自分が自分の心と向き合うことで、いじめの原因やいじめに向かわないための考え方を模索していくことが大切です。
本書は、いじめの体験や報告をまとめたものではありません。サブタイトルの「開発的人間関係」は著者の造語で、いじめ問題の考察を通じて人間関係不全の原因を解明し、さらに積極的な人間関係を創造することを意図して「開発的」としました。
著者紹介
1954年、大分県に生まれる。1977年、関西外国語大学卒業。1980年、関西外国語大学大学院修了。1991年、兵庫教育大学大学院修了。現在、兵庫県立阪神特別支援学校教諭。著書に『自己実現への英会話』(朱鳥社2002年)『心をつなぐ英会話』(朱鳥社2004年)『心で学ぶ人間福祉入門』(朱鳥社2007年)あり。
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